キリンビールのクラフトビール子会社、スプリングバレーブルワリー(SVB)は、岩手県遠野産のホップ「IBUKI(いぶき)」を使って醸造した「SPRING VALLEY BREWERY Hop Fest」10月3日(木)からSVB東京、横浜、京都、「“BEER TO GO”by SPRING VALLEY BREWERY(BTG)」の各店舗で販売します。
 
 

ホップフェスト


 今年収穫したばかりの日本産ホップを使ったクラフトビールを楽しむ「フレッシュホップフェスト2019」を9月1日から11月30日までの期間で全国で実施している関連で、オンラインショップ「DRINX」では330mlびん、10月15日(火)からはタップマルシェでも数量限定販売。また木内酒造が造る「常陸野ネスト Hop Fest」も同日から発売します。
 
 「SPRING VALLEY BREWERY Hop Fest」は収穫したばかりの希少な日本産ホップ「IBUKI」をフレッシュなまま使用し、香りが豊かに引き立つエールタイプに仕上げたこの時期限定のビール。原材料は麦芽・ホップ・糖類(乳糖)。アルコール分は6.5%。
 
 「常陸野ネスト Hop Fest」は国産麦芽と茨城県産の小麦、そして横手産の生ホップを数種類使用し、オールジャパンの原材料で造り上げたビール。みずみずしくはじけるホップのアロマと国産麦芽のコクとのど越しが特徴です。原材料は麦芽・小麦・ホップ。アルコール分6.0%。
 
 さらに、10月12日(土)、13日(日)にはBTGでホップフェストを開催。30ブルワリー以上の商品が提供される予定です。
 
 

ホップフェスト2



このイベントは今年で5回目。日本産のフレッシュなホップでつくった“香り高い”クラフトビールを楽しむ場を設けることで、ビール市場を活性化し日本産ホップ農業を盛り上げたいとの思いで始まった企画です。参加クラフトブルワリーは過去最高の81社、参加飲食店は1500店以上で昨年の1.5倍増となる見込みです。
 
 SVBの田山智広マスターブリュワーは「日本産ホップを守る活動が重要」だと話しています。
 クラフトビールの市場は2000年代は業務用中心で伸び、2010年中ごろからは缶・家庭用が伸びて2017/2013でほぼ倍に拡大しているそうです。直近の数字は2016年3万7000kl、17年3万8000kl、2018年4万kl、2019年4万4000kl見込み(キリンビール予測)。消費者調査では、クラフトビールを「知っている」人は2015年が63%に対して2019年は91%と、一般的なワードになりつつあり、WEB記事などのニュースを通じて興味を持つ人が多くいるのだそう。
 
 年とともにビールの楽しまれ方にも変化が見られ、それまで仕事帰りのサラリーマンのおじさんがジョッキで飲み干す、コクやキレ、爽快なのど越しのイメージで楽しまれてきたビールが、クラフトビールの浸透などとともに、ゆっくりまったり、食事とあわせたり個性の違いを楽しんだり、ビールが「香りを楽しむ」時代に変わってきています。それを影で支えているのが香りの源でもあるホップ。
 
 クラフトビールはホップの味や香りに特徴を感じるため、ホップを大量かつ多品種使用します。クラフトビールの本場アメリカでは製造量が2009年の107万klから2018年には304万klと3倍に拡大。加えて、1lあたりの平均ホップ使用量は09年の3.6gから18年には6.1gと1.72倍増加(ちなみに「一番搾り」は1.5gだそうです)。リットルあたりの量なので、総使用量だと3倍×1.72倍なので6倍近い量が使われていることになります。さらに、米国クラフトビールの使用ホップ品種数も09年の88品種から18年には154品種と1.75倍で、需要増と求められる品種の多様化で、ホップ栽培はグローバルでは成長産業になっているのだそう。
 
 一方、日本産ホップ生産量は08年の446tから年々減少傾向を続けていて、10年後の2018年は202tで半減以上。農家の高齢化と担い手不足が深刻で、後継者や新規就農者の確保が急務。このところのクラフトビールブームもあって、ホップ栽培が盛んな岩手県遠野市で若い就農者が少し増えたことで大喜びしているくらいですから、人手はぜんぜん足りていないみたい。「後継者育成や新規就農者確保など日本産ホップを守る活動が重要」(田山さん)ということでした。
 SBVは「SOCIAL BREWERY」を取り組みテーマに「個性あふれるモノづくりを通じて、人と人をつないでいくことで、人の心を豊かにするとともに、社会を少しずつ良くするきっかけとなる『場』を創るブルワリーを目指す」活動を行っています。