2018ボージョレ


 平成最後のボジョレー・ヌーヴォーが第三木曜日の15日に解禁されます。今年の輸入量は486万本でピーク(04年の1250万本)の1/3近くまで落ち込んでいたり、毎年来日してた帝王のジョルジュ・デュブッフさんがとうとう来日しないらしいなど、残念な話題も多いですが、せっかくの収穫のお祝いなのですから、難しいことを考えずに“2018年のワインの出来”を試してみてはいかがでしょうか。

 ■2018年は“しっかり&なめらか”■
 日本と同じようにフランスでもここ数年は天候不順で、夏にゴルフボール大の雹が降ったりして被害を被る地域が多かったのですが、今年はフランス、イタリア、スペイン、ドイツなど久しぶりに天候に恵まれたようで、生産地で発表する収穫リポートの文章も弾んでいるようです。
 
 ボジョレワイン委員会が10月9日に発表した資料によると…
 「収穫が終わるとすぐに、ボジョレでは北から南へ、そしてカーヴからカーヴへと、熱狂と称賛の声が駆け巡りました。2018年ヴィンテージは17年、15年、09年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう。
 成熟の条件は理想的なものでした。天候面でも全く問題なく、日照と暑さに恵まれ、果実はゆっくりと順調に熟してゆき、また春に蓄えられた水分を引き出すことで、ぶどう樹は全般的に乾燥に苦しむことはありませんでした。収穫されたぶどうは素晴らしい衛生状態です。収穫が開始されるまで良い状態を保っており、9月の暑さと日照の恩恵を最大限に享受した生産者たちは健全で糖分が高く、よく凝縮したぶどうを収穫することができました。
 カーヴで試飲された最初のワインは、このヴィンテージの高いポテンシャルを示しています。『早熟のヴィンテージの良いところを備えており、不安な面はありません」とSicarex(ボジョレぶどう栽培・醸造研究所)のディレクター、ベルトラン・シャトレ氏はコメントしている。『ビロードのような口当たりです。ワインは長い浸漬により色とストラクチュアが抽出されています。円みがあって絹のようですが、オイリーで凝縮しています。タンニンは繊細でエレガントです』。
 カーヴでの最初の試飲の後に印象を話した2000年MOF(国家最優秀職人賞)ソムリエのアルノー・シャンボスト氏も同様の見解を述べている。『色は赤く染まり、濃密で、フクシア(アカバナ科の低木)の赤紫色がかっている。果肉のある黒い果実、花(ボタン、ライラック)のアロマに加え、僅かにスパイスや甘草のニュアンスも感じられる。味わいには深み、複雑さ、エレガンス、味わい深さが融合している。タンニンは口中を心地よく覆い、味わいの長さをもたらしている。ワインはテロワールを映し出しており、それは土壌や斜面の向きという要素だけでなく、ガメイという品種の個性も最適な条件のなかで引き出されています』。
 11月15日は「これほどに待ち望まれ、前もって祝福された」と異口同音に表現されているヴィンテージの、最初の証となるボジョレー・ヌーヴォーを味わう機会となる」
 
 ■せっかくならおいしい新酒を■
 毎年50社以上の輸入業者さんがボジョレー・ヌーヴォーを輸入していて価格もピンキリですが、味の満足度で言ったら、さけにゅーでは1800円以上のものをおすすめします。ブルゴーニュに近い丘陵地の北部ボジョレーより平地の南部ボジョレー、伝統的なぶどう栽培地より開墾したばかりの高地や低地など、条件が悪いところになれば安いボジョレーが生産できるので、現地価格1~2ユーロくらいのものもありますが、味も当然それなりです。3~5ユーロあたりからしっかりしたものが出てくると思って間違いありません。1ユーロは現在128円前後のようなので、5ユーロでも640円が現地価格になります。これに関税(1本あたり約93円。日EU経済連携協定が来春発効されればゼロになりますね)がかかります。さらに飛行機運賃がかかります。よく知らないのですが結局3倍くらいの値段になるそうです(参考までに、日本から空輸されてパリのジュンク堂で売ってる「ONE PEACE」78巻は7・5ユーロ、960円くらい。空輸ってやっぱり高くなるんですねぇ)
 
 ■おススメは■
 サッポロビールが発売する「アガミー ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー ポーボトル2018」は、同社の女性醸造家、久野靖子さんが現地に赴き、日本人向けにブレンドを監修した新商品。ワイン後進国の日本はアジア人だし買う量もそれほど多くないしで、これまでは、既に製品としてあるものの中から“日本人に合いそうなもの”を探してくるしかなかったそうですが、ようやく、1メーカーの作り手が製造の現場に立ち会うまでになったんだなあ、という感慨深い1本なのだそうです。チャンスがあったらぜひお試しを。
 
 あと今年は酸化防止剤無添加ヌーヴォーが増えています。モメサン社によると「ボジョレー地方では伝統的にセミ・カルボニック・マセレーション(半炭酸ガス浸漬法)でワインを造る。ぶどうを房のままタンクに入れて、蓋をして発酵すると、タンク内には発酵で生まれる二酸化炭素が充満するので、酸素に触れないで発酵が進む。そのため醸造段階で、酸化防止を目的とした亜硫酸添加が軽減できるなど、もともと無添加ワインを造る素地があった。亜硫酸添加は雑菌繁殖のリスクを避けるためのもので、基本的に必要最低限は添加すべき。ただ、空輸で早飲みが基本のボジョレー・ヌーヴォーは亜硫酸無添加のポテンシャルがある」(醸造担当のジャン・バティスト・バシュリヴィエ氏)のだそうです。
 「モメサン」のほか、「アルベール・ビショー」や「ラブレ・ロワ」からも酸化防止剤無手化ヌーヴォーが発売されています。
 
 ■イベントたくさん■
 生産者団体のボジョレ委員会は11月15~17日、東京・新宿の「サナギ新宿」(新宿3丁目35-6)で「ネオボジョMATSURI2018~ボジョレ・ヌーヴォー解禁!~」を開催。バブル時代から続く風物詩を、新たな旋風を生み出す“ネオ・バブル”のお祭りとして盛り上げます。入場無料で、ボジョレ・ヌーヴォー1杯300円、ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー1杯500円で提供。ネオバブル風の照明や装飾で、毎日17時からはDJタイムも実施。
 
 最大手サントリーワインインターナショナルは、昨年に引き続き、HP(http://suntory.jp/kaikin/)やSNSを通じて“ボジョパ”を推しています。展開3年目の今年は“あけた瞬間、パーティはじまる!”をコピーメッセージに、より気軽にを提案。好評だったというオリジナルソング“ボジョパの歌”のって解禁告知が流れる小売店様向けの店頭音声ツール“ボジョパラジオ”や、シェアして楽しむパーティグラスなども提供。15日20時からは、「FUJIWARA&横澤夏子のみんなで乾杯」ボジョパ生配信も行うそうです。
 また、「串カツ田中」さんでは都内10店舗で飲み放題企画「樽からボジョレー!田中deボジョパ!」を15日に開催。英国風パブ「HUB」も西武新宿駅前店で50名限定の「飲み放題パーティー“ボジョパ”」を開催。
 イオンや西友、ドン・キホーテ、リカーマウンテンなども0時解禁の店頭イベントが行われます。機会があったらのぞいてみてください。