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シャンメリー前史から誕生まで

 「シャンメリー」、クリスマスが近づくとスーパーの店頭などに並ぶ、見た目からハッピー!な炭酸飲料です。個人的にはお菓子の入った紙製のブーツとセットな感じかな。知らない人もいるかもしれないので、上の情報と被らないところを知ったかぶってみます。
 
 おおもとは、明治初期に炭酸飲料が海外から入ってきたころ、サイダーやラムネが”舶来品”だったころから「シャンペンサイダー」と言われる商品はあったらしいです。
それが、戦後間もない昭和22年(1947年)、進駐軍が楽しそうに開けるシャンパーニュをヒントに、“ポン!”と鳴る清涼飲料を東京の飲料会社が開発したのが今の商品の原形のようです。どこの会社か?普通なら「うちが最初」と言いそうなものですが、いまこうした商品をつくる東京の清涼飲料会社さんの沿革を見ても見つけられませんでした。その後、栓を締める機械が開発されて全国の中小飲料メーカーが相次ぎ参入し、全国で発売されるようになったそうです。この当時は飲み屋さん向けに「ソフトシャンパン」の名前で売られ、本当に「大人のカンパイ飲料」でした。

シャンメリー全国制覇

 それが「1966年(昭和41年)、まだシャンメリー(当時はソフトシャンパン)が歓楽街で飲まれていたころ。富山県の飲料メーカー・トンボ飲料の社長であった翠田康志氏(現・会長)は、開栓時の『ポン』という賑やかな音、炭酸のきらびやかなイメージはホームパーティにもふさわしいのでは、と思い立ちました。そのアイディアを大手スーパーに提案すると即座に採用が決定、ジングルベルの軽快な音楽とともに「トンボ・シャンメリー(ソフトシャンパン)」がスーパーの全国系列店に陳列されたのです。こうして『クリスマスの夜は家族でシャンメリーで乾杯』、これが瞬く間にブームとなり、約50年後の現在でも定番となっているのでした」(トンボ飲料・シャンメリーの歴史)。

「シャンメリー」が日仏外交関係に!

 この全国展開と同じ時期に大きな問題が起こります。「1966年(昭和41年)12月20日 在京フランス大使館から外務省を通じ申し入れのあった「シャンパン文字使用禁止に対するフランス大使館口上書」によって「シャンパン(シャンペン)」の名称が原産地の誤認を生じさせる表示としてフランス原産地名(シャンパーニュ州)を今後防止するようにとのことで、当時の通商産業省貿易振興局検査デザイン課より呈示されたのが最初である。この問題が発生したのは1958年(昭和33年)10月31日にリスボンで改正された「工業所有権の保護に関するパリ条約」および「原産地表示の防止に関するマドリッド協定」を1965年(昭和40年)8月21日に日本が批准し、これが日本について効力を生じることになったためである」(一般財団法人日本清涼飲料検査協会「清涼飲料よもやま話」より)。
 
 業界では「アルコール飲料じゃないから全然違うものだし、だいたい『シャンパーニュ』を真似たんじゃなくて『シャンペンサイダー』が由来だし、日本語使ってるからフランスのものと間違えようがないし」と抵抗しますが、結局は「シャンパン(シャンペン)」文字は使用しないということで協定書に調印しました。
(ちなみにシャンパーニュ委員会では「シャンパン」という表記自体も、本来のブランド名に便乗しようとする類似表記としてダメ出ししています。原産地統制呼称に従い、正しく産地名の「シャンパーニュ」のみOK。「Champagne(シャンペイン)」という名前で活動していた日本のロックバンドを改名させるくらい、厳しく取り締まっています)
全国ソフトシャンパン協同組合が「シャンメリー」の商標登録を出願し、翌1973年(昭和48年)からソフトシャンパンはシャンメリーに改称。同団体自体も昭和49年に全国シャンメリー協同組合に改称され、現在に至っています。
ちなみに「シャンメリー」は、ギリギリOKになった「シャン」(たぶんシャンパ、まで行くとダメなんでしょうね)と、その当時一番大きな市場だったクリスマス商戦の「メリークリスマス」を反映させた造語です。

チューハイとの意外な関係

 ぶどう糖と水と炭酸の配合のノウハウと、炭酸水を瓶に詰めるラインがあれば参入できるこの業界、もともと全国各地に“ラムネ屋さん”と言われるような中小の清涼飲料会社が多数ありました。だいたいはラムネやサイダーから始まり、1964年にレモンやオレンジの輸入が解禁されるまではそういった果汁飲料など、また大きな繁華街にルートがあればチューハイの割材などまで取り扱っていました。子供向けももちろんあったでしょうが、より利益率の高い飲み屋さん向けの、ソーダやトニックウォーター、カクテル用のフルーツジュース、スパークリングワインぽいものとともに、焼酎をウイスキーハイボールっぽくできたりビールっぽくできたりする「割材」がおいしい商売だったんでしょうね。
 それが、ビール系などの清涼飲料大手やコカ・コーラなどの清涼飲料市場参入によって徐々に市場を奪われるなか、中小企業の保護を訴え、当時の通産省を通じて「中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律」(中小企業分野調整法)を成立させます。

大手の参入は、実はルール違反

 この法律で、「ラムネ」や「シャンメリー」、ポリ容器に入った「チューペット」、「ハイサワー」や「ホッピー」などの焼酎割り用飲料、ミルクコーヒーとかの「パレード」、クリームソーダの「スマック」、あとお豆腐製造が保護対象となっています。大手企業は参入することができません。
 大手清涼飲料メーカーが「ラムネ風味」は出しても「ラムネ」と言わないのはこの法律によります。そこで疑問なのは、最近のレモンサワーブームでレモン果汁の大手メーカーとかが出してるノンアルの「レモンサワーの素」。この法律にひっかかるはずなんだけど、その辺どうなってるんでしょうね。


写真:anncapicturesによるPixabayからの画像


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