大手酒類メーカー出身の3人による新たなクラフトジン蒸留所が長崎県・五島列島で12月からの稼働を予定しています。クラフトジンが注目されているなかで、どんな展開を見せるのか、注目です!
株式会社五島つばき蒸溜所は、長崎県・五島列島の福江島で12月、クラフトジン専用蒸留所を稼働開始します。
既に蒸留施設は完成していて、11月1日(火)~15日(火)にはメディア向け内覧会を実施中です。
(五島つばき蒸溜所は)半泊教会の隣に建つ小さな木造のジン専用蒸留所で、酒類メーカー出身の3人が世界に通用するクラフトジンづくりを目指します。島のシンボルでもある椿の実をキーボタニカルに、様々な素材を原料に使用し、ここでしかつくれないおいしさをご提供してまいります。また、ジンをつくるかたわら、長崎県の宝でもある五島市福江島半泊地域の美しい海や教会を守る活動も行っていきます。
(内覧会招致リリースより)
さけにゅー的オープン・ソース・インテリジェンス
ニュースリリースでは「大手酒類メーカー」となってましたが、ちょっと調べたら3人とも元キリンビールの方でした。
クラウドファンディング「READYFOR」で4月に100万円を目標としたプロジェクト(900万円弱を集め4月終了)を立ち上げた際に公開されているプロフィールによると、代表取締役/蒸留家の門田クニヒコさんはマーケ・商品開発畑で、開発商品はキリン極生、氷結ストロング、一番搾りフローズン生、47都道府県の一番搾り。
取締役/ディスティラー、ブレンダーの鬼頭英明さんはウイスキーのブレンド及び中味開発を中心にリキュール、スピリッツ、焼酎、ワインなどの中味開発に従事し、ボストンクラブ淡麗原酒、エバモア21年、富士山麓、杏露酒シリーズ、キリン氷結シリーズ、キリンフリー、などを開発。
顧問/マーケティング・ディレクターの小元俊祐さんはウイスキー、スピリッツ、RTD、ワインの商品開発や広告宣伝など幅広くマーケティング業務に従事。薔薇のバーボン「フォアローゼズ」のブランドマネジャーとして日本市場を開拓――、
とありますから、全員が酒類に関する製造・販売のエキスパートですね。
読売新聞の記事(2022/10/13 15:00九州発)によると鬼頭さんは58歳、小元さんは57歳というから、キリンの役職定年を機に、自由にチャレンジしてみたいと思ったんじゃないかなあ。
福江島は人口3万人強ですが蒸留所のある半泊地区は5世帯10人。3人とも五島どころか九州出身ですらないというのに揃って移住したという話ですから、並々ならぬ決意を感じさせます。
ジン製造にあたっては、風土や人の営みを映す“風景のアロマ”の表現を重視。五島の象徴である「椿」の種を炒って蒸留した深みあるアロマとボディ感、そして半泊の超軟水の天然水による「土地のアロマ」、個々のボタニカルごとに最適な蒸留条件を設定し、個別に浸漬法とバスケット法で抽出する「素材のアロマ」、そして、ブレンダーが素材を慈しみ素材毎の個性を活かしながら調和させる「造り手のアロマ」を生かし、個性がありながら調和のとれた飲み飽きることのないおいしさ(ユニーク&ハーモニー)を目指す、としています。
蒸留所は木造平屋で、延べ床面積約200平方m。隠れキリシタンの歴史を今に伝え、守護聖人が聖パトリックということで大正期にアイルランドからの浄財で建設された半泊教会の隣に位置しています。
蒸留器はドイツ、アーノルド・ホルスタイン社の300ℓジン専用蒸留器(オーダーメイド)を導入。ジャパニーズウイスキーのブレンド技術を極めた鬼頭英明さんのブレンド技術によって、「五島の誇りをおいしさに変え、世界中のクラフトジンファンを驚かせたいと思います」とのこと。
製品は「GOTOGIN(ゴトジン)」で500㎖、5,000円(税抜き)の予定。
長崎県五島市のふるさと納税19,000円の返礼品にもなっています。
なお、クラウド募集時点でのスケジュールでは9月に蒸留所完成後、速やかに酒類製造免許・販売免許を取得し、11月中に1stバッチ製造としていましたが、上棟式が10月10日で、10月発出のニュースリリースでは「現在、酒類製造免許申請中」となっているので、もしかしたら少し遅れているのかも。国税庁のサイトで確認できる酒造免許新規取得者は現時点で8月分までなので調べようがありませんが、うまくスタートできるといいですね。
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