今回はご招待いただいて明治屋さんが2月28日に京橋の明治屋ホールで開いた明治屋×サゼラック試飲セミナーにお邪魔してきました。

これまで、リモートでの発表会は何度か参加させていただいていましたが、実際に会見に行くのは今回が初めてだったので超緊張しちゃいました。けど、参加できてものすごく勉強になりました!

サゼラック試飲5品ボトル

 記者会見の内容は、アメリカの大手酒造メーカー、サゼラック社のマスターブレンダー、ドリュー・メイヴィルさんが来日して、今春発売予定の「アーリー・タイムズ ゴールド」や、こだわりのバーボン「バッファロー・トレース」、「イーグル・レア」をはじめ、スタッグJrから名称変更となった「スタッグ」、バーボン界のロマネ・コンティと称されるプレミアムバーボン「パピー ヴァン ウィンクル」を紹介する、というものです。

ドリュー・メイヴィルさんはシーグラム社で23年務めて「シーグラム最後のマスターブレンダー」となり、ディアジオ社で2年勤めた後、2004年から現在までサゼラック社のマスターブレンダーとなっています。

ちなみにサゼラック社は現在、「バッファロー・トレース」(ケンタッキー州)、「1792」(同)、「ポール・ジョン」(インド)、「オールド・モントリオール」(カナダ)、「コーリングウッド」(同)、「A.スミス・ボーマン」(バージニア州)、「サゼラック・オブ・テネシー」(テネシー州)、「ラスト・ドロップ」(ロンドン)、「ドメーヌ・サゼラック・ドゥ・スゴンザック」(フランス)、「ラフ・ギル」(アイルランド)の10蒸留所を所有しているそうです。

ドリュー・メイヴィルさん

マスターブレンダーの仕事についてメイヴィルさんは「マスターディスティラーが穀物の選定から発酵、蒸留、樽詰めまで責任を負い、その後に様々なブレンディングをしていくのがマスターブレンダーです。ブレンドの真髄は、独自のフレーバーを創り出すこと、年ごとの様々な違いや穀物の違い・樽の違いによる変数を1つの商品としてまとめて均一性を担保すること。テイスティングプロファイルを均一にする責任があります」と説明していました。
 
 次にバーボンの規定について解説いただきました。それによると、バーボンウイスキーはアメリカ合衆国内で製造、原料の51%以上がコーン、蒸留時のアルコール分は160プルーフ(Abv80%)以下、内側を焦がしたオーク新樽で熟成、樽詰め時のアルコール分は125プルーフ(Abv62.5%)以下、瓶詰め時のアルコール分は80プルーフ(Abv40%)以上、人工香料や人口着色料は許されない――ということが定められているそうです。
「コーンは甘い香りと味わい、フルーティさをもたらします。95%のバーボンでその次に使われているライ麦は、スパイシーさ、ペパリーな辛みなど独特な香りを与えます。残り5%はウィート(小麦)を使い、柔らかで丸みのあるバーボンに仕上がります。ほかにライムストーン(石灰岩)で濾過された水、独自の酵母、そして長い時間(熟成)が重要な要素です」とメイヴィルさんは言います。

サゼラック試飲5品グラス

 試飲したのは「アーリー・タイムズ ゴールド」、「バッファロー・トレース」、「スタッグ2022」、「ジョージ・T・スタッグ2022」、「パピー・ヴァン・ウィンクル15年」の5種類でした。

 「アーリー・タイムズ ゴールド」は今春発売の新商品のようです。
「アーリー・タイムズ」というブランドは1860年にジョン・ヘンリー・ジャック・ビームが販売を開始。小さな桶で穀物をすりつぶし、直火によって銅製の蒸留器で蒸留するなど”Early Times Method”(昔ながらの製法)にこだわり続けてきた。禁酒法時代も“薬用”と認められて販売を続けた絶えず続く長い歴史と、1953年に世界№1バーボン、1983年にはミックスドリンクのベースとなるアメリカンウイスキーとして提案されるなどの人気を誇ります。
アーリータイムズゴールド
 
よく、生産地はケンタッキー州ルイビルと書かれているのを見かけますが、「1923年にブラウン・フォーマン社が買収して生産拠点をケンタッキー州ルイビルに移していたが、サゼラック社が2020年に買収した際に、製造拠点を再び創業時のケンタッキー州バーズタウンに戻した」と説明されていたので、情報を更新しておく必要があるようです。

「アーリー・タイムズ ゴールド」はケンタッキー・ストレート・バーボン・ウイスキー。マッシュビルは79%コーン、11%ライ、10%大麦で、独自酵母で発酵。愛好家のために作られたバーボン。どんなシーンにもぴったりで、ニート、ロック、ハイボールで楽しめます、とのこと。香りはバニラ、アプリコット、洋ナシ、チェリーや、ライのスパイシーさ、シトラスやメイプルシュガー。味わいは心地よい甘さの核果(桃・アプリコット・プラム)にブラウンシュガーのニュアンスが加わり、スパイス、トフィー、ダークフルーツ、焦がしたキャラメル、オークへと変化する。
フィニッシュは長く滑らかで、スパイシー、ドライ、樽の深みがあります。

「バッファロー・トレース」は既発売のスタンダード品を試飲しましたが、今春には数量限定の「アンティーク コレクション」として「ジョージ・T・スタッグ」、「ウィリアム・ラルー・ウェラー」、「トーマス・H・ハンディ」、「イーグル・レア17年」を発売するそうです。
 また、蒸留所の拡張についてもお話がありました。現在、12億ドルの投資による10年計画での拡張工事が進行中で、樽熟庫は4カ月に1棟のペースで完成しているとのこと。熟成している樽の数は58,800樽で、杯数にすると1億5,000万杯になるそうです。また発酵槽が8基追加されて全部で24基になったほか、連続蒸留器コラムスチルの2基目を設置して既に稼働中なのだそうです。

 このほかはテイスティングノートをご紹介します。どれも超レアで購入なモノばかり。アルコール度数が高いけど、それ以上に厚みのある穀物の飲みごたえ、荒々しさが一切ない舌触りに圧倒されましたが、圧倒され過ぎてうまく表現できませんでした。

スタッグロゴ変更

「スタッグ」は、これからリリースされるものはロゴの“G”のところにあった“Jr”表記がなくなります(上の写真)。香りは強く持続的でアプリコット、キャラメル、リンゴ、チョコレートとブラウンシュガー。味わいはトフィー、キャラメル、ブラックチェリー、ベーキングスパイス、ライのスパイシーさ、オレンジと紅茶。フィニッシュは長く続く余韻がダークチョコレート、シナモン、クローブ、シトラスとオークを感じさせます。

「ジョージ・T・スタッグ2022」は、香りはシナモン、焦がしたキャラメル、ダークチョコレートとチェリー。口蓋ではクリーミーなバニラ、スパイシーさ、皮革、リッチでスモーキーなオーク。フィニッシュはブラックコーヒー、ダークチェリー、シナモンとハーブのニュアンスがあります。

「パピー・ヴァン・ウィンクル15年」は、香りはキャンディコーン、バターの風味やチェリー、パイナップル、オレンジピール、バニラ、キャラメルとベーキングスパイス。味わいはダークチョコレート、ダークフルーツ、バニラビーンズ、豊かなキャラメル感に皮革やオーク。フィニッシュは長く豊かで、シナモンシュガー、モラセス、トフィーや焦がしたオークの印象。
 
また自由試飲では「サゼラック ライ」や「サザン・カンフォート」、参考出品として「ペイショーズ・ビターズ」、テキーラ「コラソン」、ラグジュアリーラム「ジャング&ウルフ」などをご紹介いただき、例えばサザン・カンフォートの「午後の紅茶ストレート」
(加糖に限る!)割りのようなユニークな飲み方も教えていただきました。

バッファロートレースを持つメイヴィルさん


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