“国産ウイスキー100年”。昨年からよく目にしたフレーズです。おめでたいことに水を差すつもりはないのですが、その関連の記事とかで間違った記述がたまにあったのが気になって気になって。
例えばこんな文章です。誤りと思われる個所が3つあるのですが、どうでしょうか。
<記事例文>
「国産(ジャパニーズ)ウイスキー100周年」
2023年は、サントリーが山崎蒸溜所を開設してから100周年、国産(ジャパニーズ)ウイスキーを発売してから100周年の節目の年で、記念ウイスキーが発売されるなど大変注目を集めています。
間違い1:「国産(ジャパニーズ)ウイスキー」
これはわかりやすい間違い。「国産ウイスキー」はイコール「ジャパニーズ」じゃないんですよね。
2021年2月に日本洋酒酒造組合が「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を発表し、「国産」と「ジャパニーズ」に区別をつけたはずなのに、いまだに混同した記述を見かけます。PR不足なのか、意識が低いのか。そろそろ常識になってほしいですね。
間違い2:「山崎蒸溜所開設から100周年」
開設から100年が間違いです。
サントリーは山崎蒸溜所を、1923年11月から着工し、完成は1924年、稼働開始は11月11日です。サントリーではだいたい「1923年(大正12)に建設が着手されました」と表現しています。なので、稼働開始から数えるなら2024年が100年目。そう、今年こそが国産ウイスキーづくりが始まって100年の年なんです。
間違い3:「国産ウイスキーを発売してから100周年」
国産ウイスキーの誕生から数えると、100年まであと5年が必要です。ウイスキーの熟成は3年以上と言いますが、第1号を発売するまで5年もかけたんですね。
山崎蒸溜所の場合は最初のウイスキー「サントリー白札」の発売が1929年4月のことですので、本当の意味の「国産ウイスキーの登場から100年」は2029年に当たります。
間違い?4: “周年”が、間違いとまでは言えないかもしれないけれど、ちょっとモヤりポイントです。
「周年」とは“丸1年”のことを指すため、2023年10月オープンのお店は2024年10月が“1周年”、10月以前は“1年目”というのが一般的だと言います。この例から言うと、『国産ウイスキー100周年』は2024年こそがふさわしい、ということになるんじゃないかと思うのですがどうでしょう?
ただ、世の中には2023年10月オープンで2033年10月は10周年とする数え方もあるようで、はっきり間違いとも言えないようではありますが…。
実際、サントリーでも「ウイスキーづくりを始めて100年」という表現が多く、曖昧さの残るところはなるべく避けて表現しているようにも見受けられます(たまに100周年と書いてあるくだりもありますが)。
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